最高裁判所第三小法廷 昭和36年(オ)62号 判決
上告人 高山潔 外二名
被上告人 長野県知事
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理由
上告代理人田多井四郎治の上告理由、同上告理由補充、同再補充申立理由について。
公水使用権は、それが慣習によるものであると行政庁の許可によるものであるとを問わず、公共用物たる公水の上に存する権利であることにかんがみ、河川の全水量を独占排他的に利用しうる絶対不可侵の権利ではなく、使用目的を充たすに必要な限度の流水を使用しうるに過ぎないものと解するのを相当とする(大審院明治三〇年第四二二ないし第四二四号同三一年一一月一八日判決、民録四輯一〇巻二四頁、同院大正五年(オ)第六二号同年一二月二日判決、民録二二輯二三四頁参照)。
原判決(及びその引用する第一審判決)は右と同趣旨に出でたものであつてその判断は正当である。論旨は、これと反する独自の見解に立ち原判決の認定事実に副わない事実に基づいて原判決の判断を非難するものに過ぎず、違憲の主張も前提を欠き、すべて採るをえない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判官 垂水克己 河村又介 石坂修一 五鬼上堅磐)